この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
two roses & a lily
第1章 プロローグ
「ジョン、ジョアンナが起きたら、夕飯を一緒に食べて、二人で仲良くしてなさい。」
バタン…
いつもと同じ夕暮れだった。
母はシングルマザーだ。
元々父親はいない。
俺達兄妹の父親は誰だかわからない、同じなのかどうかすら…
母はこのスラム街で夜の女をしている。
もちろん、わかったのは俺がもう少し大人になってからの事だが…
俺がスクールに行っている間、母はシッターを雇って妹の面倒を見させ、俺が帰ってくる夕方、日中の仕事から戻り、夕飯の支度をして、自分は食べずに夜の街へと出掛けていく。
朝は起きてこないから、妹のジョアンナと二人でトーストをかじる朝食。
家族で食卓を囲む。
そんな当たり前の事をしたことがない。
学校に行くようになるまで、我が家が普通だと思っていた。
今日もいつもと同じ1日だと、俺は思っていた。
母は深夜に帰ってくることもあれば、朝方になることもある。
日中の仕事に何時に出ているか知らないが、母はいつ寝ているんだろう、いつ食事しているんだろうと、子供ながらに不思議に思い、母は苦労しているんだと思っていた。