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two roses & a lily
第1章 プロローグ


「ジョン、ジョアンナが起きたら、夕飯を一緒に食べて、二人で仲良くしてなさい。」

バタン…

いつもと同じ夕暮れだった。

母はシングルマザーだ。
元々父親はいない。
俺達兄妹の父親は誰だかわからない、同じなのかどうかすら…

母はこのスラム街で夜の女をしている。
もちろん、わかったのは俺がもう少し大人になってからの事だが…

俺がスクールに行っている間、母はシッターを雇って妹の面倒を見させ、俺が帰ってくる夕方、日中の仕事から戻り、夕飯の支度をして、自分は食べずに夜の街へと出掛けていく。

朝は起きてこないから、妹のジョアンナと二人でトーストをかじる朝食。

家族で食卓を囲む。
そんな当たり前の事をしたことがない。

学校に行くようになるまで、我が家が普通だと思っていた。

今日もいつもと同じ1日だと、俺は思っていた。


母は深夜に帰ってくることもあれば、朝方になることもある。
日中の仕事に何時に出ているか知らないが、母はいつ寝ているんだろう、いつ食事しているんだろうと、子供ながらに不思議に思い、母は苦労しているんだと思っていた。

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