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Eternal
第5章 :Reverie-夢想-
 彼女の考えていることは夢想だ。自分の頭の中では上手くいくようになっている。しかし現実はどうだ? 恐らくそうはならない。最初は上手くいったとしても途中で必ず何かある。それを俺や警察機関に所属しているあいつが察知して前行動できたらいい。しかし予想とは反対に状況が変化することもある。今回のように彼女を友人のマンションまでおびき寄せて、その後で犯人が『ヒト』である彼女の心理を突くような行動に出た。囮作戦のように見せかけて、実は彼女の心と身体を動かしたのだ。
 『ヒト』は時に感情に任せて行動をすることがあると聞いたことがあるが、これがそうなのかと涙声で未だにミスコンに参加すると言い張る彼女を見つめながら唖然とした。
 俺はこのような『ヒト』になりたいとずっと思っていたのか?
 『ヒト』は何とも愚かな生き物なんだ――
 首都にいれば保障ある暮らしができたはずなのに、それを捨ててまでこの島国を出て行ったあいつと同じだ。どうして『ヒト』は自分の先の安全面を考えずに突発的な行動に出ることができるのか、これだけはあの時から今も本当に理解ができない。しかし彼女の決意は固いようで、俺も少しは頭を冷やして落ち着いた後に丁寧に説明をした。これは罠だと。でも説き伏せることはできなかった。こんな非力な自分が嫌になる。これでは『ヒト』でも『進化した者』でも全く変わりがないような気がした。しかし、これが前に彼女が言っていた”どちらも同じ”ということなのだろうか?
 まあ、ミスコンに参加してもせずともどちらでも彼女に危険がつきものであることは変わりはない。ただ動くよりも動かない方が危険な確率が少しだけ低いだろうという俺の予想。
 俺は髪の毛をくしゃりとさせた後に彼女に伝えた。
「じゃあ、ミスコンに参加すればいい」
 その言葉を待っていましたかのように、彼女の伏し目がちの両目が俺の方へと向けられた。おいおい、さっきの涙は何だったんだ? と問いたくなるほどの笑顔。しかしその中にはある種、緊張しているのだなと感じられた。
「あの、本当は十二月三十一日に一緒に食べようと思っていたんですけれど……」
 これは今回の詫びみたいなものなのか? 彼女はキャリーバッグの中から二つの年越しそばというものを俺の前にどんと出してきた。
「えっと、引っ越しそばです……」
 年越しそばに引っ越しそば…… 
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