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サイドストーリー9
第12章 永遠の番い
人間の50年はきっと悟には一瞬に思える事だろう。

1千年をいい加減に生きてきたと言っていた。

それでも私に出会った3年間は毎日毎日、大切に生きてくれたように思う。

50年たった今でもあの3年間を思い出して生きている。

あの3年間が私と悟の全てだった。

悟の子を産んで、大事に大事に育て上げた。

あなたは人間ではないと小さい頃からそれとなく教えて伝えて
それでも成人するまでは半信半疑だった。

今目の前にいる50歳になる私の息子は
見た目は20代の青年にしか見えない。

「これから先、950年を有意義に過ごして。
たった一人の花嫁を見つけなさい」

その若い頬に手を伸ばす。

自分のしわくちゃになった手に悟と別れた年月を感じる。

「一人にさせてごめんなさいね」

悟は一人の時間をどんなに寂しく思った事だろう。
その寂しさを息子に味あわせたくないと思っていただろうに。

結局私も人間だ。
そろそろ天寿を全うする。
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