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サイドストーリー9
第2章 蛍の想ひ人
兄貴が亡くなって、しばらく母さんの頭の中は兄貴の事だけだった。
母さんの生活の全てが兄貴のことを想い出すことだけで費やされた。

俺は半分は忘れられた存在で
兄貴を思い出させるこの顔は
大人しく過ごすことがこの家での暗黙の了解だった。

そんな俺のために泣いてくれるんだ。

俺も母さんの息子なんだな。

「可哀そうなんかじゃないよ。
最高に幸せだよ。兄貴が亡くなって6年。
やっと由布子さんが俺に振り向いてくれたんだ。
やっと兄貴が俺に由布子さんを託してくれたんだ」

「・・・・」

「だから、全員に祝福してほしい。
母さんにも。由布子さんのお母さんにも」
「・・・・」

「あなたは、それで幸せなのね?」
「もちろん」

「由布子は?博之君の『弟』じゃなくて信くんが好きなのね?」
「うん」

全員に祝福してほしい。
一点も曇りのない心で。

なぁ、兄貴。祝福してくれるんだろう?

さて、み~んなで式場見学に行くか!

END****



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