この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
サイドストーリー9
第2章 蛍の想ひ人
「全員に祝福してほしい」
由布子さんが俺に出した唯一の結婚の条件だったからだ。
うん。俺も全員に祝福してほしい。
兄貴にも―――
「二人の心配は良く分かるよ」
「信之」
母親の辛い顔を見るのは俺も辛い。
「でも、別に俺たちは兄貴を無理に忘れようとはしていないんだ」
「信之!」
「信くん・・・」
「俺たちは兄貴の思い出も含めて結婚したいんだ」
「・・・・」
「決して傷の舐め合いじゃないよ」
「・・・・」
「本当に穏やかな気持ちで兄貴を含めて、なんだ」
「・・・・」
「俺の人生で兄貴を消せるわけはないし、由布子さんの人生でも、だ」
「うん。そうなの」
「母さんたちも、だろ?」
「・・・・」
「忘れる必要はないんだ」
「信之」
母さんが人前で兄貴の事で泣くのは久しぶりだ。
母さんはずっと独りで泣いていた。
「でも、なんだか信之が可哀そうに思えて」
あぁ、俺のために泣いてくれてるのか。
由布子さんが俺に出した唯一の結婚の条件だったからだ。
うん。俺も全員に祝福してほしい。
兄貴にも―――
「二人の心配は良く分かるよ」
「信之」
母親の辛い顔を見るのは俺も辛い。
「でも、別に俺たちは兄貴を無理に忘れようとはしていないんだ」
「信之!」
「信くん・・・」
「俺たちは兄貴の思い出も含めて結婚したいんだ」
「・・・・」
「決して傷の舐め合いじゃないよ」
「・・・・」
「本当に穏やかな気持ちで兄貴を含めて、なんだ」
「・・・・」
「俺の人生で兄貴を消せるわけはないし、由布子さんの人生でも、だ」
「うん。そうなの」
「母さんたちも、だろ?」
「・・・・」
「忘れる必要はないんだ」
「信之」
母さんが人前で兄貴の事で泣くのは久しぶりだ。
母さんはずっと独りで泣いていた。
「でも、なんだか信之が可哀そうに思えて」
あぁ、俺のために泣いてくれてるのか。