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サイドストーリー9
第22章 虹色の楽譜
ピアノなんか大嫌いだった。
中途半端に才能があった母は、音大までは順調だったんだろう。
でも音大を出てもピアノはほかの楽器と違ってオケに入ることもできず
ソロでリサイタルを開くほどには才能はなく
生活のために音楽教師をしていた頃、父と結婚して田舎に引っ越した。
小さい頃から、音階を正確に読み取ることや、音感を育てることを熱心に俺に施した。
小さい頃は音を当てるクイズをして正確に当てると母が褒めてくれた。
いくつもの鍵盤を同時に弾いてそれすらも俺は正確に答える事が出来た。
それを母は嬉しそうに褒めてくれて。
それが俺は嬉しくて嬉しくて。
思い返せばピアノを通じてしか母との思い出がない。
母はピアノでしか俺を評価しなかった。
テクニックだけを磨いてもそんな生活の中で感情が磨かれるはずもなく
いつしか、俺の音はモノトーンだと評された。
優勝が当たり前だったコンクールに優勝できなくなって
焦って、苦しくて
指紋がすり減る程にピアノを弾いた・・・
それでも、俺のピアノに色は付かなかった―――
茜さんと出会って。
ピアノを弾く意味を知った。
この人の心を捉えたい。
この人の心に俺のピアノの旋律を刻みたい。
そう思えば思うほど、あんなに嫌いだったピアノの音が俺の分身となって茜さんに届けばいいと思うようになった。
ピアノを愛して、ピアノの音を愛でて、ピアノの音に俺のすべてを託すようになった。
中途半端に才能があった母は、音大までは順調だったんだろう。
でも音大を出てもピアノはほかの楽器と違ってオケに入ることもできず
ソロでリサイタルを開くほどには才能はなく
生活のために音楽教師をしていた頃、父と結婚して田舎に引っ越した。
小さい頃から、音階を正確に読み取ることや、音感を育てることを熱心に俺に施した。
小さい頃は音を当てるクイズをして正確に当てると母が褒めてくれた。
いくつもの鍵盤を同時に弾いてそれすらも俺は正確に答える事が出来た。
それを母は嬉しそうに褒めてくれて。
それが俺は嬉しくて嬉しくて。
思い返せばピアノを通じてしか母との思い出がない。
母はピアノでしか俺を評価しなかった。
テクニックだけを磨いてもそんな生活の中で感情が磨かれるはずもなく
いつしか、俺の音はモノトーンだと評された。
優勝が当たり前だったコンクールに優勝できなくなって
焦って、苦しくて
指紋がすり減る程にピアノを弾いた・・・
それでも、俺のピアノに色は付かなかった―――
茜さんと出会って。
ピアノを弾く意味を知った。
この人の心を捉えたい。
この人の心に俺のピアノの旋律を刻みたい。
そう思えば思うほど、あんなに嫌いだったピアノの音が俺の分身となって茜さんに届けばいいと思うようになった。
ピアノを愛して、ピアノの音を愛でて、ピアノの音に俺のすべてを託すようになった。