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解放
第1章 第一章
落ち着いた雰囲気、というより
有り体にいえば、暗い店内だった。

光が差し込まない造りのせいか
店内の薄暗い照明に照らされたものだけが
目にはいる。

ここで小説読んだら目が悪くなっちゃうな。

そんなことを思いながら私は通された一番奥の席に着く。

「はい、どうぞ」

メニューを差し出され、文字を追う。
冷たい飲み物ならなんでもいいが、と
オレンジジュースに決めようとしたとき

「オレンジジュースがいいかな?」

彼がそう言った。
驚いてメニューから目をあげると、
あの黒目がちな瞳で私を見ながら頬笑む顔。

「…え?…なんで…」

「昨日言ってたよね。好きなんでしょ?オレンジジュース」

そうだ。彼はそういう人なのだ。
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