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第1章 突然の訪問

「そなたは歌が上手いな。名は何と
いうのだ」

「麗でございます」

この集落に「のだ」をつける人は
いない。もしかしたら偉い人かもしれないと
思った麗は失礼がないように質問をしてみる。

「どうして、偉い方がこのような場所に
いるのでしょうか」

「そなた、宮廷のことが分かるのか」

「いいえ、人から聞いただけです。
私は目が見えないのであなた様の
姿は見えませんが」

ほう、と言った男性は私の近くに来た。

「そなたは、目が見えぬのか。
それは都合がよい。そなた
に決めた、宮廷に来ることを命ず」

「ど、どういうこと？」

弟はまだ10歳、宮廷と言われても分かる
はずがない。宮廷は恐ろしい場所だと
村の人から聞いた事がある。本当のことを
言えば行きたくはないが命令に背けば
危機にさらされる。

「はい。分かりました」

少し間を置いた後、返事をした。
最初は弟を家に帰そうとしたが
腕を掴まれたので家に帰ることが
できなかった。