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お披露目の会の余興の話(くすくす姫後日談その5のおまけ)
第1章 お披露目の会の余興の話

「どうだったよ」
「…うー…」
「お前、すんげぇ顔になってるぞ」
軽く息を弾ませたサクナが戻って来て、笑いながら姫の眉間の皺を突つきました。
「…うううー…」
「もう一度、言っとくぞ。お前が、見たいつったんだからな」
「うううう……わかってるっ…」
姫が唸るとサクナはニヤニヤしかけましたが、バンシルが白い目を向けているのに気が付いて、表情をそれなりに引き締めました。
「で、どうだった?」
「とっても、上手だったわ…けど…」
「けど?」
姫はサクナから視線を外して俯くと、踊りが終わって一度力が抜けていた両手をまたぎゅっと握り締めて、答えました。
「…けど、もう、踊ってくれなくって、いいっ!」
「妬いたろ」
「っ!!」
「当然だから、気にすんな。こいつは元々そういう踊りだ」
サクナは妙に機嫌良く、姫の頭を撫でました。
「へ??」
姫がぽかんとしていると、バンシルの向こうからタンム卿が言いました。
「スグリ嬢。これは本来、求愛の踊りなんですよ」
「きゅ…きゅーあいっ!?」
タンム卿の苦笑混じりの解説に、姫は驚いて目を丸くしてサクナを見ました。しかし、サクナは澄まして姫の頭を撫でているだけでした。
「上品に言やぁ、そうですがねー」
その時ちょうど、ビスカスが戻って来ました。
ローゼルは化粧室にでも行ったのか、まだ席に戻って来ておりません。そのせいか、それとも歌を歌ったせいか、ビスカスは畏まった言葉を完全にかなぐり捨てて、いつもの口調で言いました。
「元々は、作物の収穫を喜び豊作を祝う祭の場で夜が更けた頃、酒も程良く回った男女が駆け引きの末、粉ぁ掛け合ってまぐゎ…」
「こな?…まぐ?」
姫はいつもの癖で、下ネタの師匠の使った耳慣れない言葉を口に出して繰り返しました。
「や!粉じゃ有りやせん、粉じゃ!えーと、こっ…声です、声!声を掛け合って、まぐ…ちの狭い家に帰って行く、みたいな?」
「へ??まぐち?」
姫は師匠の言葉を聞いて、再び眉間に皺を寄せました。
「間口…入口が、狭いお家???」
「…ビスカス…お前…」
「はい?何ですかい?」
「お前毎度毎度スグリに変な事教えてんじゃねぇぞコラ…」
間口間口とぶつぶつ呟く姫に聞こえない位の声でサクナに恫喝されて、ビスカスは慌てて首を振りました。
「…うー…」
「お前、すんげぇ顔になってるぞ」
軽く息を弾ませたサクナが戻って来て、笑いながら姫の眉間の皺を突つきました。
「…うううー…」
「もう一度、言っとくぞ。お前が、見たいつったんだからな」
「うううう……わかってるっ…」
姫が唸るとサクナはニヤニヤしかけましたが、バンシルが白い目を向けているのに気が付いて、表情をそれなりに引き締めました。
「で、どうだった?」
「とっても、上手だったわ…けど…」
「けど?」
姫はサクナから視線を外して俯くと、踊りが終わって一度力が抜けていた両手をまたぎゅっと握り締めて、答えました。
「…けど、もう、踊ってくれなくって、いいっ!」
「妬いたろ」
「っ!!」
「当然だから、気にすんな。こいつは元々そういう踊りだ」
サクナは妙に機嫌良く、姫の頭を撫でました。
「へ??」
姫がぽかんとしていると、バンシルの向こうからタンム卿が言いました。
「スグリ嬢。これは本来、求愛の踊りなんですよ」
「きゅ…きゅーあいっ!?」
タンム卿の苦笑混じりの解説に、姫は驚いて目を丸くしてサクナを見ました。しかし、サクナは澄まして姫の頭を撫でているだけでした。
「上品に言やぁ、そうですがねー」
その時ちょうど、ビスカスが戻って来ました。
ローゼルは化粧室にでも行ったのか、まだ席に戻って来ておりません。そのせいか、それとも歌を歌ったせいか、ビスカスは畏まった言葉を完全にかなぐり捨てて、いつもの口調で言いました。
「元々は、作物の収穫を喜び豊作を祝う祭の場で夜が更けた頃、酒も程良く回った男女が駆け引きの末、粉ぁ掛け合ってまぐゎ…」
「こな?…まぐ?」
姫はいつもの癖で、下ネタの師匠の使った耳慣れない言葉を口に出して繰り返しました。
「や!粉じゃ有りやせん、粉じゃ!えーと、こっ…声です、声!声を掛け合って、まぐ…ちの狭い家に帰って行く、みたいな?」
「へ??まぐち?」
姫は師匠の言葉を聞いて、再び眉間に皺を寄せました。
「間口…入口が、狭いお家???」
「…ビスカス…お前…」
「はい?何ですかい?」
「お前毎度毎度スグリに変な事教えてんじゃねぇぞコラ…」
間口間口とぶつぶつ呟く姫に聞こえない位の声でサクナに恫喝されて、ビスカスは慌てて首を振りました。

