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愛してるからこそ...
第16章 社員旅行
『結城がそうしたいって言って
やっているならいいんじゃない?
うちなんて見張ってないと
馬鹿みたいに忙しい商社マンのはずなのに
直ぐにギャンブルに走るんだから。』
香織ちゃんの言っている時の顔は
明らかに呆れている顔で少し面白かった。
お気に入りでいつもこれだけは奮発して買う
ファンデーションを手に持っていたのに
後ろからぶつかってきた女の人によって
そのファンデーションは床に転げ落ち
見るも無残な姿を曝した。
コンパクトのミラーは割れてしまっていて
パウダーの部分も粉々になり床に散乱している。
『ちょっと待ちなさいよ。』
香織ちゃんが慌てて止めてくれたけど
その人はなにもなかったかのように
パウダールームをでて私たちの前から居なくなった。
「あーぁ、まだ買ったばかりなのに…」
『そうなの?これ高いでしょ?』
「うん…私物欲ないけどこれだけは気に入っててずっとこれなの。
コンパクトも買い替えたばかりなのに…」
あまりにもショックが大きすぎて
どうすることも出来なかった。
香織ちゃんは今日買いに行くの付き合いたいけど
秘書課はミーティングがあるのよね…と
申し訳なさそうに言ってきた。