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世界で一人だけの君へ
第8章  アイドルになる?!
夏休みも終わり学校が始まると僕たち野球部は地元の有名人。知らない人から声をかけられることも増えた。

ファンだという女の子も急増。
家の前で待っている子もいれば校門前で待っている子もいる。休み時間も放課後も呼び出される。
友達と来た女の子。モジモジしながらなかなか言い出さない。
ーーはぁ...早くしてくんないかなぁ

隣の友達に肘でつつかれながら
「好きです。付き合ってください」
「ごめん、俺、彼女いるから」
秒殺。悪いとは思うよ。
でもね
毎回ため息。何度これを繰り返すのだろう...

「賢夢、一人くらい俺にくれよ」
茶化すクラスメイトに
「じゃ、今度はお前が行け」
悪気はないがつい無愛想になる。

俺の何を知ってて“好き”なんて言うんだろう...

付き合ってみたらきっと“思っていたのと違う”なんて平気で言うんだろうな。


教室の扉が開き担任が入ってくる。

「坂井、校長室に来い」

進路の決まらない俺はここのところ毎日呼び出されている。しかも校長直々

校長室に入れば校長が満面の笑みでお出迎え。
校長の向かい側にスーツを来た男性が座っている。

「こちらホワイトホークスのスカウトの方だ。
 坂井くんに是非とも話を聞いてほしいといらしてくださったんだ」

立ち上がり

「ホワイトホークスのスカウトマンの岸辺です」

名刺を差し出される。
これで何人目だ?
あれほど野球は続けないと言っているのに校長は次々と話を持ってくる。
そりゃこの学校からプロ野球選手が出たとなれば学校の名前は売れるしお金も入る。
校長が躍起になるのもわかるけど、俺にその気がないってわかってて...

校長の横のソファーを勧められ腰かける。



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