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世界で一人だけの君へ
第11章  槙 璃子の力
あれから何度かドラマや映画の話をもらったが、僕は学業を優先したためグループの活動以外はほとんど露出をしていなかった。

そして今年大学を卒業するにあたり進路を決めかねたが、せっかく芸能界に入れたのだから真剣に“俺”を試してみることにした。

それに准一のドラマが気になっていた。
空前の准一ブーム
そのドラマのスタッフに璃子さんがいる。
今年から本格始動をした『Xセブン』。
事務所はあの手この手で売り込みをかけている。
その中のひとつの准一のドラマが大当たりしていた。


たまたま事務所へ行ったときだった。

「開局記念の大がかりなドラマらしいです」 

酒井さんが川名さんと話している。

「准一に来たんだよな」  

「はい。でも今、准一が1年以上拘束されるのはキツいです。他にもバラエティや来年の学園ドラマの話しもきてるんで」

「そうだな...。それにこのドラマはまだ准一には無理だぞ」

「そうですよね...」

「この話、板垣にくれないか?」

「板垣くんですか?
 でも少し年齢が下ですよ。
 新入社員の設定ですから」

「...そうだよな。
 長岡にやらせてみるか」

そういった酒井さんと目があった。

「坂井、大学は卒業したか?」

「はい」

俺は返事をした。

「これやってみるか?」

台本を渡される。

パラパラとめくりスタッフの名前に目が留まる。

ヘアメイク 槙 璃子

「やります!やらせてください」

俺は酒井さんを真剣に見つめていた。


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