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女鑑~おんなかがみ~
第16章 献身
十七歳で芸妓となった小紫のもとには,見習の少女,小菊と小桃がいた。
小菊は昔に同じ置屋にいた元芸妓が生んだ娘で,そのまま置屋で育ってきた少女だった。十二歳ではあったがはやく旦那をもって一人前になりたいと口にしていた。
 他方,小桃のほうは,かなり裕福な商人の娘だったが,突然の火事で両親を亡くし,十五歳で芸妓見習いとなった。
当時,見習いになるのは遅くても十二歳ごろで,十五歳では遅すぎるといわれていた。そうなると娼妓になるしかないと考えられたのだが,裕福な商家に育った小桃は習い事三昧で育ってきたので,例外的に十五歳から舞妓になり,下積みもなく舞を披露するようになっていた。
 突然の不幸に見舞われるまでは,かなり甘やかされて育ってきたらしく,物おじせず天真爛漫な少女だった。

ある日,みやこ呉服の旦那は,小紫を抱きながら言った。
「そろそろ,若い子の水揚げをさせてくれへんやろか」
そういいながら,小紫の乳房に歯を立てた。小紫はいつものように痛みをこらえる。
「相変わらず辛抱強いな。まあ,お前みたいなまな板の鯉も悪くはないけど,今度は,もっと生きのいい,跳ねて暴れるような娘が恋しいわ」
「……」
予想していなかったことではないが,さすがに背筋が寒くなるのを感じた。
「……昔はなあ,奥向きの小間使いの子,ほとんど全部,手籠めにしてたんやけどな。
今は,あかんわ。奥向きの小間使いは,うちの女房が仕切ってるから,手をだせへん。
小間使いの娘らは,嫁入修行のための行儀見習いや,いうて,うちの女房が,裁縫やら炊事や茶道や生け花を教えながら働かして,年季が明けるころに番頭と相談して,うちや取引先の手代と見合いをさしとるんや。
それに儂が手を出して傷物にしたら,番頭と女房が文句言いよる‥‥‥。
最近は,儂が夜這いをかけられんように,女中部屋に鍵までつけやがった。
番頭の奴は,呉服屋をもっと今様にするとか百貨店にするとかいうて張り切っとるけど,こっちはええ迷惑や」

朋輩たちが話していた噂はどうやら本当だったらしい。
けれどそのとき,小紫は,旦那様が気の毒だと思った。
自分が助けなければ,と思った。
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