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女鑑~おんなかがみ~
第12章 貞操
操子がむらさき屋で働くようになってひと月が過ぎた。

夕顔のところには二十代くらいの若い客が来ている。操子は,夕顔に頼まれて銚子と猪口を過度の部屋に運んだ。
男はもう,着物を半分脱いだ格好をしており,操子は思わず顔を背けた。

今度は,千鳥のところの客が帰るという。四十代くらいのでっぷりと肥えた男が部屋を出た。
操子は大急ぎでこの男の草履を出して玄関に並べた。
「次郎さま,今度はぜひ泊っていってくださいませね。私,一人で寝るの寂しくって」
千鳥が切なげな声で客を見送るのを背中で聞きながら,操子は布団をかたずけ敷布を洗濯用の桶に放り込んだ。
そうしていると夕顔の部屋から,あ~ん,あ~ん,と甲高い声が響いてくる。いつものことだ。初めて聞いた時には夕顔姉さんが殺されそうだ,と驚いて千鳥を呼びに行き,大笑いされてしまった。
「あの娘はいつも,派手に声を上げてよがるからね。今のお客は単純だからそういうのを喜ぶからちょうど良いのかもしれないけれど,少しうるさいよと言っておくわ」
千鳥はそういって苦笑いをしていた。

そうしているとまた千鳥のところに客が来た。今度は五十を過ぎた白髪の男であった。操子は大急ぎで千鳥にそのことを伝え,掃除した部屋に布団を敷く。
千鳥は「今の旦那さまはお酒は上がらないから,お茶を持ってきてね」と操子に告げて化粧を直してから部屋に向かった。

女学校時代は家事も女中に任せきりだった操子にとっては不慣れなことが多かったが,ようやくこのような下働きの仕事にも慣れ,身体を動かしてかいがいしく働くのはそれなりに楽しかった。
だが,千鳥の部屋にお茶を出して戻ろうとすると,廊下から夕顔の客である若い男が出てきて立ちふさがった。
「あ,さっきの新顔か,今度はこっちにするかなあ」
と言いながら,着物の袷に手を差し入れ,乳房に伸ばそうとする。

「申し訳ございません。どうかお許しください」
男を突き飛ばしたい衝動をこらえながら,そういって後ずさりした。

女将さんにも千鳥さんにも何度も言われたことだ。
「下働きをしているときにお客に何かされても,本気で怒ったり露骨に嫌がったりしてはいけないよ。だからと言って最後まで許してはだめだけれど,上手にかわすんだよ。
そういうことにも慣れてもらわないとね」

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