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振り向けば…
第9章 もう少しだけ頼むわ…
先輩から逃げ続ける夏休みが終わりに近付いた頃。
「一緒に東京に行けへんか?」
悠真が私にそう言いに来た。
「何しに行くん?」
「俺は仕事やねん。けど打ち合わせだけやから、東京見学とかしたいし。来夢はこの前、行ったから道とかわかるんやろ?」
ずっとホテルだったから右も左もわかりません。
俯く私に悠真が
「ついでにオッチャンのところにも行こうぜ。」
と言うてくれる。
お父さんはまだ宮城に居る。
お父さんに会いたかった。
「行く…。」
情けない顔で悠真にそう答える。
新幹線で東京に向かう。
ひとまずはホテルに荷物を置くと言う悠真に警戒をしてまう。
何故なら部屋は1つ…。
「悠真と同じ部屋か!?」
「あかんのか?ちゃんとツインやからベッドは2つあるぞ。」
このままホテル三昧かとトラウマが蘇る。
先輩と違うのは割と高級ホテルという事くらい。
「とりあえず今日は浅草に行こうぜ。雷門って奴を見たいからな。」
ニヤリとする悠真にホッとする。
浅草までタクシーで行き、浅草寺でお参りをする。
先輩と無事に別れさせて下さい。
おかしな神頼みをしてまう。
それから2人でもんじゃ焼きを食べる。
「美味しい!」
「前回の時に食わんかったんか?」
悠真の質問に苦笑いをする。
「明日の午前中だけ待ってろや。昼から東京タワーに連れてったるから…。」
「うん…。」
悠真はクリエイターとしての仕事で東京に来てる。
私は悠真のオマケの子…。
惨めで情けない恋愛をしてる馬鹿な子供…。
その後は渋谷に出て悠真が私に服とバッグを買うてくれた。