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振り向けば…
第10章 映画にでも…



チッ…。

悠真が舌打ちをする。


「なんかあった?」

「遅刻やと…。」


車の中に沈黙が続く事20分…。


「お待たせぇ…。」

「遅せぇよ…。」

「だってぇ…。」


ひたすら不機嫌な悠真…。

空気を読まない雰囲気の彼女…。

私にはともかく拓也さんは先輩なのだから挨拶くらいはすべきなのに…。


「ねぇ…、悠真ぁ…。アミューズメントに何回行ったぁ?私…、これで10回目ぇ。」


とか言うてる。

10回目だからつまらない?

飽きた?

今となっては名前すら思い出せない彼女…。

悠真はただ生返事を繰り返す。

20分の遅刻で臨時駐車場になってまう。

当然、パークからは遠い。


「歩くのやだぁ…。」


悠真の腕に絡みつく彼女がそう言う。

遅刻をしたのは貴女だよ?

拓也さんと2人でうんざりとする。

連休だから有り得ないほどの混雑…。

優先チケットは売り切れてて、人気のアトラクションは整理券が出ている状況なのに…。


「あれに乗りたーい!」


3時間待ちの一番派手なアトラクションに彼女が乗りたがる。


「乗りたい?」


拓也さんが私に聞いて来る。


「えっと…。」


私が答える前に悠真が


「コースター系のアトラクションには来夢は乗らないだろ?すぐに気持ち悪くなるんだから…。」


と答えてまう。

余計な事をと思う。

拓也さんは私の事をなんでも知ってる悠真の存在が不安なのに…。


「苦手なの?」

「はい…。」


安全装置がガバガバでいつも振り回されるだけのアトラクションは苦手だ。


「身長制限が足りないからな。」


悠真が嫌味ったらしくニヤニヤと笑う。


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