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振り向けば…
第10章 映画にでも…
拓也さんにべったりの私は悠真の事なんか全く知らない状況だ。
「悠真と付き合えばなんでも奢ってくれてなんでも買ってくれる貢ぐ君って噂が流れたんだよね…。」
彩が眉を顰める。
そして一気に悠真に女の子が群がった。
その挙げ句に悠真は3人の女の子を並行したらしい。
そのうちの1人が
「馬鹿にしないでよ!」
と叫んで学校の食堂で豪快に悠真を引張叩いた。
「悠真って、そんな人やった?」
彩が私に確認する。
私が離れてる間に知らない悠真になってる。
「違う…、と思う。」
自信が無い。
悠真がそんな男じゃないと言い切れない。
久しぶりに悠真の家に向かって走る。
「おっ?どうした?」
私にはいつもの悠真に見える。
「どうしたちゃうわ!何してんねん?」
「別にええやんけ?」
悠真が開き直る。
「向こうから付き合うてくれ言うから付き合うたら、やれ何が欲しいとか何処かに連れて行けって我儘ばかり言いやがる。その代わりに俺はその女にはやらせて貰う。ソープに行って金払っても本番は無しなんやから、本番ありなら安いもんやんけ?」
ヘラヘラと笑ってそない言う悠真に涙が出る。
「ギブアンドテイクにいちいちキレられても俺の方が困るわ。」
「そんな風に女の子を傷つける男は最低やって悠真が言うたやん!」
「処女は断っとる。それに来夢には関係ないやろ?拓也さんはええ人やからな。」
私が傷つかなければ、それでいいと悠真が言う。
「そんなん…、あかんて…。」
悠真にも傷ついて欲しくなかった。
なのに悠真は涼しい顔。
「なぁ…、来夢。映画にでも…、行けへんか?」
「映画くらいやったら、なんぼでも付き合うたるから…。」
もう、馬鹿な事は止めろと思う。
何故か、そのすぐ後くらいから悠真の髪が黒色に戻った。
噂のせいか悠真に群がる女の子も居なくなった。
ただ、私と映画に行く悠真だけが居た。
振り向けば必ず悠真が私の視線の中に居た。