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振り向けば…
第11章 失敗した…



夏休み…。

ユンボの免許とか取れる資格は片っ端から取りに行くという生活をする。


「どんだけ取るつもりや?」


お父さんが顔を顰めて聞いて来る。

実際、ペーパーテストは取れても現場での実績が2年は必要になるので、あくまでもペーパードライバー扱いにしかならない。


「取れるもんは全て取るよ。」

「欲張りやなぁ…。」


少しでも取得すれば就職に有利になる。

4年生は教育実習などをやりながらの就活になるから今のうちに免許関係を終わらせたい。

私の悪い癖…。

早く大人になりたいともがき、背伸びをして欲張りになる癖…。


「秋に横浜でライブがある。行きたいか?」


黙々と走り続ける私を立ち止まらせるように悠真が聞いて来る。


「行きたい!」

「絶対にチケットを取ったるからな。」


やっと生で演奏が聞ける。

何かで発散したい年頃…。

それがスポーツでも恋愛でも何でもいいから有り余るエネルギーを余す事なく使いたい。

暇で堪らない…。

1日が長い…。

だから暇さえあれば資格を取る。

お願いや…。

早く明日になって欲しい…。

毎日、それを月に祈る私が居た。

やっと秋になる。

横浜行きの新幹線の中で悠真が私から目を逸らす。


「失敗した…。」

「何が?」


関東には台風が近付いてる。

かなり雲行きが怪しい中でひとまずはホテルにチェックインをする。

わなわなと肩が震える私が居た。


「どういうつもりやねん…。」

「だから…、失敗した言うたやんけ?」


ホテルは普通のホテル…。

だけど部屋にはダブルベッドが1つ…。

悠真はひたすら私から目を逸らす。


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