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振り向けば…
第11章 失敗した…



空へ…、叫ぶ…。


そんな歌詞が耳に入る。

出だしは間違いなく英語だった。


「日本語…。」

「このバンド…、日本人やからな。」


既に悠真はPVなどをチェック済みだ。

ぬいぐるみを被った謎のバンド…。

一見、コミカルバンドに見えてしまうけど実力は本物というバンド…。

海外ライブもやってる。

音楽はロックやラップというジャンルだけど知名度はかなり上がってるそのバンドにハマってまう。

暇さえあれば悠真とそのバンドの音楽を聞く。


「そんなバンドがあるの?」


彩も日下先輩もやっぱり『ふーん…。』という反応。

玲奈さんが卒業をしたからますます私の中で寂しさが生まれてく。

私だけがのめり込む音楽…。


「生で聞きたい!」

「無理や。春で全国ツアーが終わってる。」


悠真とため息をつく。

もうすぐ夏…。


「お前…、単位はどうなってる?」


悠真が聞いて来る。


「ほとんど取ったよ。後は教員免許の単位やな。」

「建築のほとんどを取って、まだ教員免許を取る気か?」

「そうや。建築の世界は女には厳しいからな。最悪に備えろってお父さんが言うんやもん。」


資格だけを持ってる女性を嫌う建築現場が実際に存在する。

建築の世界はまだまだ女性には狭き門。

それでも随分と女性が増えた方だとは言われてる。

万が一…。

その為だけの教員免許…。


「悠真はどうやねん?」

「俺は卒業が出来るギリギリの単位…。」


気不味い顔で悠真が私を見る。

私に怒られると思ってる時の顔…。

だけど悠真は既にクリエイターとして社会に対応している以上は私に言う事は何もない。


「ちゃんと卒業だけはしろや。」

「わかっとる。」


悠真が微妙な顔で笑った。


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