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振り向けば…
第12章 誰の鍵…?
「悠真君のや…。」
サラリとお母さんが言う。
「はぁ?」
「家の前で来人が返しに来た悠真君から預かったんやて…。」
お母さんも来人もそんな事はどうでもいいという感じで無関心な態度。
私だけが悠真の分の鍵を握ってアパートの悠真の家に向かって走り出す。
「悠真っ!」
悠真の家は無人だった。
別に引越した形跡はない。
ただ悠真のパソコンだけが無くなってる。
「悠真…?」
慌てて携帯で悠真に電話をする。
『この番号は現在使われておりません…。』
無表情な声が聞こえるだけ…。
ふらふらと自分の家に帰る。
自分の部屋で思いっきり高笑いをする私が居た。
「あはは…。」
笑いが止まらない。
悠真に愛されてる?
だから悠真に抱かれたら悠真が私に素直になる。
とんでもない自惚れだよ。
だって私は悠真にまで捨てられたじゃん。
まるでヤり逃げだよ。
自分の全てを晒して悠真に捨てられた。
きっと悠真は馬鹿な女だと私を笑ってる。
あんな奴…。
居なくなって清々する。
そうだよ…。
家族なんかじゃない。
悠真は他人なんだよ。
2度と私の前に現れるな!
そんな風に考えないと涙が溢れて止まらない。
惨めな自分が居た。
こういう時は黙って慰めてくれる悠真に頼る癖が付いてた。
もう…、悠真には頼れない。
私は自立した女にならなければならない。
1人でも生きていける女になる。
お父さんが居なくなっても大丈夫な女になってやるんだから…。
アホの悠真なんか居なくても平気な女になってやるんだから…。
新しい自分になるのだと泣きながら決心した。