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振り向けば…
第13章 悪かったから…


悠真は学校に来なくなってた。

そんな事すら知らなかった。

私には関係ない。

冷めた子の冷めた考え…。

年末が来て年が明ける。

お父さんがいつも寿司屋に来いと言って家族や会社の皆んなを集めた。


「今日で定期検診が最後やと言われた。」


ニヤリと笑うお父さんが居る。


「それって…!?」


涙を浮かべるお母さんが居る。


「任せろ!癌に勝ったわ。」


豪快に笑うお父さん。


「おめでとうございます。」


会社の人達がお父さんの肩を叩いたり、抱き合ったりして喜んでる。

お父さんが完治した。

5年の再発がなければ、よほどでない限りの再発はないと病院が太鼓判を押してくれた。

皆んながもう、お父さんを失くす事はないのだと喜んでお祝いをしてくれる。

おじいちゃんにも居て欲しかった。

そんな事を考える。

悠真のお母さんも居る。


「ちょっとええかな?」


悠真のお母さんが私を呼ぶ。

手には知らない鍵が握らされる。


「あの馬鹿息子…、呼んで来てくれる?」

「私が?」

「来夢ちゃんの言う事しか聞かへん子やもん。」


悠真のお母さんが言う意味がわからない。

だって私は悠真に捨てられた女だよ?

そんな話は出来ない上にお父さん達がニヤニヤとして私を見る。


「早よっ!迎えに行って来い…。」


そう言われて私だけがお父さんの完治のお祝いの席から放り出される。

なんやねん…。

重い足取りでおばちゃんから聞いた悠真のマンションへと向かった。

うちからアパートとは反対側に5分ほど歩く。

新しく出来た高級分譲マンション…。

オートロック、サウナにプールにジムまで付いてるというマンションに何故か悠真が居るという。


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