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振り向けば…
第13章 悪かったから…
どういう事やの?
恐る恐るとおばちゃんから預かった電子ロックの鍵でオートロックの扉を開ける。
大理石張りの広いエントランスを抜けてエレベーターに乗り込む。
悠真の部屋は最上階。
一体、いつ、こんな凄いマンションを買うたんや?
凄い稼ぎとは聞いてた。
だけどずっとアパートにおばちゃんと暮らしてて、車すら買わなかった悠真がマンションを買うたとか信じられないとか思う。
しかもアパートにはまだおばちゃんが住んでる。
まさか…。
お金持ちの女の人と同棲中とか!?
勝手な妄想をエレベーターの中で繰り返す。
マダムな人が出てきたらどうしよう?
てか、マンションの住民じゃない私がウロウロして警察が来たらやばいかも?
エレベーターを降りておばちゃんから聞いた部屋の前に行く。
マンションやのに門が付いてた。
「お邪魔しまーす。」
恐る恐ると門を開けて玄関の扉に鍵を刺す。
ふむ、この部屋で間違いは無いらしい。
同じ扉が並んでて部屋の号数が不安だった私。
ゆっくりと黒く重い扉を開けてみる。
白いタイルの玄関…。
そこには見慣れた汚い靴がある。
同じメーカーの同じ靴しか履かないやつ…。
間違いなく悠真が居ると確信する。
大きく息を吸う。
そして…。
「悠真ーっ!」
と叫んでやる。
ガタガタと物音がしてからバンっと派手な音をさせて廊下の先にある部屋の扉が開いた。
「ら…、いむ…!?」
マヌケな顔をした悠真が居る。
ボサボサ頭に無精髭…。
なんか小汚くなってるぞ…。
そんな事を考える。
「上がるぞ。」
偉そうに言うて悠真の前を通り過ぎて廊下の一番奥にある扉に向かって歩いた。