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振り向けば…
第15章 今日だけやで…
美保を私のベッドに寝かせて私はひとまず床に敷いた布団に座る。
「なぁ、来夢…。」
「なんや?」
ここからは美保の長くおぞましい話が始まった。
「私な来夢の事…、親友やと思いながらもずっと妬ましくて憎んでたわ。」
美保からの初めての本音の告白。
きっと手術の後で錯乱してるのだろうとも思う。
「そうやったんか?」
「だって来夢はいっつも誰かが居てくれたやろ?」
先輩達に囲まれてた。
美保はテニス部なのにテニス部部長の明日香先輩も美保よりも私を可愛がってくれた。
「悠真はな。来夢が私と一緒に居る時しか声を掛けてくれへんねん。」
泣きそうな声の美保…。
「始めはそんな来夢が親友やと、皆んなが羨ましがるから自慢の親友やったわ。」
まるで私はアクセサリー…。
「でも…、私はいっつも独りぼっちやったわ。」
美保の気持ちが今なら少しだけわかる。
職人さん達は食事をする事で私と信頼関係を結ぼうとしてくれた。
私は美保を親友だと言いながら、昼休みは美保を1人にする最低な女だった。
「だから溝口先輩に振られた来夢にざまあみろとか思った。来夢から悠真を奪ったら私の方が来夢に羨ましがられるとか考えたわ。」
「そうなんや…。」
「なのに悠真に振られた私にお弁当のチャンスをくれた来夢に呆れたわ。お人好し過ぎて来夢には絶対に勝てないんやって思ってん。」
「そんな事もあったよね。」
「大学では来夢みたいになるって決めたんや。それがこの結果やで?笑うやろ?」
美保が泣いてる。
大学での美保はテニス部でクィーンと呼ばれる美人プレイヤー…。
同じテニス部の王子様なイケメンと付き合う事で誰からも羨ましがられる存在になったらしい。