この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
振り向けば…
第15章 今日だけやで…
綺麗で有名な病院は人がたくさん来るから…。
誰も来ないような堕胎専門と噂される病院に着き、美保と私は薄汚れた個室に案内をされる。
「これに着替えてね。」
ぶっきらぼうな看護婦が美保に手術着を渡す。
着替えが済んだ美保がベッドに座って私を見る。
「あんな…、来夢…。」
「話は終わった後や。」
すぐに美保が看護婦に連れて行かれた。
私はその間に悠真が書いた同意書を別の看護婦に渡し、支払いなどの会計を済ませる。
近くにあったコンビニに行きお茶を2本買った。
病院に戻ると既に美保の手術は終わってて美保は薄汚れた部屋に寝かされてる。
「麻酔が切れて起きたら帰って貰っていいですよ。」
事務的な看護婦の言葉…。
生命を消した人間に対する冷たさを感じる。
30分もせずに美保が目を覚ます。
「吐きそう…。」
そう言うて美保が少し苦しむ姿を見た。
看護婦を呼ぶ。
「大丈夫です。完全に麻酔が切れたら少しお腹に痛みを感じるとは思いますが…、後は家に帰ってゆっくりと寝て下さい。」
事務的な看護婦は起きたならさっさと帰れオーラを出して来る。
次の患者が居るからだと思った。
隣りの部屋から啜り泣く女の人の声がした。
「やっぱりやだぁ…、産みたい。」
「無理に決まってるやろ。」
男の人の声もする。
美保が顔を曇らせる。
「帰ろう。」
美保の着替えを手伝って病院から逃げるようにして美保を連れ出した。
コンビニでおにぎりやサンドイッチ、ジュースやお菓子を買い込んでから私の家に行く。
あくまでも久しぶりの女子会。
だから家族には私の部屋に来ないでと言うてある。
今夜、一晩だけの事だから…。