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振り向けば…
第16章 トイレマット…



朝…、目が覚める。


「よく寝れたか?」


まだ全裸のままの悠真が全裸のままの私の頭を撫でて聞く。


「うん…。」

「なら良かった…。」


私をしっかりと寝かせる為に抱いたんか?

それとも…。


「シャワー…、して来いや。腹が減ったんや。」


朝ご飯を悠真が要求するから聞けなかった。

その後は、いつも通りの距離。

あくまでも家族…。

あくまでも親友…。

決して恋人の距離にはならない悠真。

ただ私以外の女は抱かないと決めてくれただけ…。

そんな、おかしな悠真とライブ映像を見る。



君と一緒に…、それとも君無しで…

君が居なければ生きていけない…



ホームシアターのスクリーン画面でお父さんと変わらないくらいの年齢のオッサンがサングラスをかけて、切ない声でそう唄う。

ライブでのサービスで客席に居た女性がステージに上げられる。



君と一緒に…。



オッサンの切ない歌声に女性客が涙を流す。

まるで恋人からプロポーズを受けたような表情を浮かべてる。

恋人じゃなくとも恋人以上に感じる瞬間があるのだと思った。


「ピザ…、デリバリーするか?」

「アンチョビ…。」

「わかっとる。」


私の好きなピザを注文してくれる。

恋人じゃないけど私はこいつと居ると決める。

だって…、悠真…。

お前はずっと私の家族やったから…。

ピザでお腹いっぱいになれば悠真と昼寝をする。

私を抱きかかえて寝る悠真は今も昔も変わらない。

その昼寝中に最悪な電話が私の携帯にかかって来る。


「誰からや?」

「クソデザイナー…。」


諦めて電話に出た。


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