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振り向けば…
第17章 遠い過去…
2人でご飯を食べて2人で家で映画を観て笑う。
翌日は2人で掃除をして2人で洗濯をして買い物に行き、ジムで汗を流す。
理想的な関係だった。
1人だと長く感じる一日が悠真となら半日に変わる。
夜に2人でご飯を食べて私は家に帰る。
「送ったる。」
歩いて来た日は必ず悠真が家の前まで送ってくれるから安心だ。
何があかんの?
まさに健全な付き合いやん。
「またな。」
次の約束をして悠真が帰る。
家に入るとお父さんがいつものソファーでタバコを吸うてる。
「ただいま…。」
少し気不味いから自分の部屋に逃げようかと考えた瞬間、お父さんから
「おうっ…、おかえり。久しぶりやな。」
と言われた。
お父さんにはいい子で居たい私はお父さんの足元に座り込む。
朝の仕事が早いお父さんは私が起きる頃には家を出てるし、私が仕事から帰る頃はお風呂に入っててすぐに寝てまう。
唯一、話せる休日を私は悠真とばかり居る。
「悠真は元気か?」
「うん…。」
またお母さんがお父さんに言いつけたのだとはわかってる。
「あんな、来夢…。お母さんの事は…。」
「わかっとる。」
別に嫌いとかじゃない。
「俺が全部悪いねん。来夢も来人も冷めた子になってもうたからお母さんは心配で堪らんねん。習い事すらさせてやれんで何の夢も持たずにお前も来人も将来の自分は1人でも生きてける人間になると真っ直ぐに進んでもうたからな。」
お父さんが悲しい顔をすると私までもが切なくなる。
「そんな事はないよ。私にだってちゃんと夢くらいはあったよ。」
「どんな夢や?」
「お父さんの花嫁さん。」
お父さんがくしゃくしゃの顔になって笑ろうてくれた。