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振り向けば…
第17章 遠い過去…



僅か5分で私の家に着く。


「もし、良ければまた食事に誘っていいですか?」


返事に迷った。


「もしかして、もう決まった人が居るなら…。」


拓也さんが慌てて私の心配をしてくれる。

優しい人…。

気遣いばかりしてくれた人…。

そんな人を2度と傷つける事は出来ないと思う。

拓也さんの中では、きっと悠真の事はもう家族だからと割り切ってるのかもしれないけれど…。


「今は仕事が恋人なんです。仕事に夢中で…、きっと私はまた拓也さんを傷つけてしまいます。」


拓也さんだって仕事がまだ安定してない。

私だって休みが変則になる。

すれ違い、そこに自由な悠真が現れれば、また拓也さんを間違いなく私は傷つける。

大切な人をこれ以上は失くしたくなかった。


「なら、時々でいい…、友人として食事に行って貰えますか?」

「はい、弁護士の先生からのお食事の誘いなら喜んで行きます。」


茶化すように答えた。

そして拓也さんの車を降りて深く頭を下げた。

さよなら…。

本当に好きでした。

涙が出そうになるから顔を上げて笑顔を作る。

拓也さんの車が立ち去った。

家に引き出物を置き、再び私は出かける。

夜の道をドレスを着てヒールを履いた私が走ると通行人が何事かと私を見る。

ええい!ヒールって走りにくい!

イライラとしながらひた走る。

悠真のマンション。

悠真の部屋の前で息を整える。


「悠真ーっ!」


叫んでやる。


「どないした?今日は玲奈さんの結婚式やから来ない言うてたやろ?」


驚いた顔の悠真が仕事部屋から飛び出して来る。

そして私のドレス姿に更に驚いた顔をする。


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