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振り向けば…
第18章 私自身を…
今更、何を照れてるねん。
こんな時の悠真はようわからん。
優しいのか、不機嫌なのか…。
2人で大浴場に行き、別々のお風呂に入る。
湯船に浸かって疲れを癒す。
お盆休みが終わればマンション建設が始まる。
悠真とゆっくり出来るチャンスは少ない。
だから…。
今夜…。
何故か期待する私が居る。
恋人じゃない。
セフレは嫌だ。
でも、悠真とは…。
悠真にその気がないのはわかってて悠真に愛されたい私が居る。
かと言うて悠真を愛してるのかと聞かれたら、はっきり言うて悩む私も居るのも事実。
だから、ため息が出る。
長々としたお風呂から上がるといつもの笑顔が私を待っててくれてる。
「早う、晩飯にならんかな。」
夕食は6時から…。
今はまだ5時を過ぎたばかり。
悠真が私の手を握る。
「しゃあないから、時間潰しで散歩に行くぞ。」
旅館のサンダルを借りて浴衣で温泉街を悠真と歩いて散歩する。
西日が少し強くてまだ暑いと思う。
「折角、風呂入ったのに、また汗かきそうや。」
浴衣の袖を捲る悠真が文句ばかりを言う。
「饅頭でも買うか?」
道中で見かけた和菓子屋の前で悠真に聞いてやる。
「要らん。飯の前に食いたくなるやんけ。」
膨れっ面の悠真が子供みたいで可愛かった。
「そろそろ帰ったら食事の時間やと思う。」
6時前から仲居さん達が準備をしてくれるはず。
部屋に居なければ後回しにされるかもしれないと悠真と急いで部屋に戻る。
丁度、担当の仲居さんがやって来た。
「お食事のご用意を…。」
「急いでやって下さい。」
「わかりました。」
笑顔を絶やさない仲居さん。
少しお話好きの仲居さん…。
「お2人はご夫婦?」
「いいえ…。」
「なら…、恋人のご旅行ですか?若いってええ事ですねぇ。」
仲居さんの言葉に苦笑いをする。