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振り向けば…
第18章 私自身を…
1日が長いな…。
パソコンを開き、図面や工程表の確認をしながら明日仕事の準備をする。
まだ午前中…。
なんで、こんなに長いねん。
頭に工程表の全てを叩き込んでも30分も経たない時間にイライラとする。
友達と遊びに行く?
疲れるだけや…。
実際、会社の営業マン達の飲み会に1度だけ参加した私にはそれは長く疲れるだけにしか感じなかった。
営業マンの興味はわざわざ女が建築に来た理由だけ…。
実家が解体屋だと答えたら、なんだつまらないという反応を見せて会話はろくに弾まない。
居酒屋だったけど、僅か2時間が半日くらいに感じて2度と飲み会には行きたくないと思った。
そんな私はますます人付き合いが悪くなり、たまに玲奈さんや彩と電話で話す程度しか人と関わりを持ってない。
電話の着信歴は仕事関係ばかり…。
社会人はそれが普通だと皆んなが言うが1日が長くて堪らない。
家から出てスーパーで買い物をして悠真の家に行く。
「どないしてん?」
「カレーが食べたくなったから作るねん。」
「保存分もよろしく…。」
悠真は私に好きにしろという態度。
「1日が長いねん。」
カレーを作りながら悠真に言う。
カウンターに座りコーヒーを飲む悠真が私を見る。
「どんくらいや?」
「48時間ある感じ…。」
「中坊か?お前は…。」
悠真が呆れた顔をする。
人は大人になればなるほど時間が速く感じるものだと悠真は言う。
「だって、長いんやもん…。」
2時間かけてカレーを作る。
後は1度冷まして夜にまた温めて食べるだけ。
なのに時間はまだ3時前。
やっぱり時間って長いやん。
ふてくされてソファーに座る。