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振り向けば…
第3章 他の奴とは行くな…



悠真と映画館に行く。

チケットを買うた悠真に呆れてまう。


「なんやねん?」

「お前…、アホなん?」

「だから、なんでやねん!?」

「この映画って3部作で、しかもこれが最後の3部目やろ?ドラマで言うたら最終回だけを観るのと同じやんか!」

「えっ?来夢…、前の2作は観てへんのか?」


悠真が驚いた顔をする。

入学祝いにノートパソコンを買うて貰ろたという悠真は映画見放題の設定をして貰い、暇さえあれば映画を観てると初めて知った。


「まぁ、ええわ。知らん話とちゃうし…。」

「内容は知ってるんか?」

「原作は図書室の本で読んだわ。」


指輪を巡る国争いのファンタジー…。

世界的に有名な本を映画化したものだから、ストーリーは原作を読んだ人にはわかるという映画。


「次から、来夢に前の作品を観せてから連れて来るようにしたるから…。」

「そうしてくれや。」


偉そうに言いながらジュースとポップコーンを悠真に買わせる。


「パンフレットは?」

「別に要らん。映画は観たいけど、そこまでマニアとちゃうからな。」


ただ純粋に映画が観たかったと言う悠真と初めて映画を観た。

迫力のある音と画面。


「パソコンで観るよりもおもろいな。」


初めて悠真が目を輝かせてワクワクとした顔を私に見せて来る。

不思議な感じがする。

小学生じゃなくなったというだけでアホの悠真が普通の男の子に見えて来る。


「あの映画は観たんか?」


悠真が言うのは魔法使いの男の子のシリーズ映画。


「最初のやつだけなら観たよ。」

「3作目が夏にあるから2作目を観せたるわ。」


その春休みは悠真のパソコンで色々な映画を観る。


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