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振り向けば…
第19章 ここまでだな…
大学ノートを開く。
思い付いた事や感じた事を適当に書く。
そこから、更に掘り下げる。
例えば自分の誕生日。
その日は世界で何があったか?
日本では?
我が家では?
そうやって掘り下げては出来事を書き留める。
やりたい事を書き留める。
想像する…。
こんな世界があれば面白い?
こんな恋愛をしみたい?
少しずつストーリーのようになって来る。
悠真の言う通り、掘り下げて色々と書き出すと時間の進みが速くなる。
僅か2、3行を書いただけで…。
「監督さん…、ええかな?」
と私に声を掛けて来る人が居る。
マンション建設の現場。
今は基礎工事中。
地面に杭を打ち、型枠を作りコンクリートを流し込むという工程中。
コンクリートを積んだ生コン車が少し遅れてるからと暇な時間を私は車の中で掘り下げるをやってた。
現場事務所もあるけど、監督が居ると職人さんが休憩を取りづらくなる。
まだ9月の残暑の厳しい季節。
だから私の待機時間は自分の車の中が多い。
そんな私を呼びに来たピンク色のニッカポッカを履いた大工さん…。
野原 海斗(かいと)さん…。
現在、28歳だと言うがロン毛に金のメッシュ入りでチャラ男なイメージの海斗さんはもっと若く見える。
「ミキサーが来ましたか?」
車の窓を開けて海斗さんに聞き返す。
「ミキサーを定位置に入れてええですか?」
チャラ男だけど仕事には驚くほど真面目な海斗さん。
「入って貰ろて下さい。」
工程開始を私が告げると大工さん達が一斉に自分の持ち場でスタンバイする。
彼らが作る鉄筋の入った型枠に生コンを流し込み、上へ上へと積み上げて行くのが鉄筋コンクリートマンションと呼ばれる建設。