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振り向けば…
第19章 ここまでだな…



アリーナに入るとチケット確認を受けて半券を渡される。


「半券がないと再入場は出来ませんから…。」


係の人がそう説明をする。

つまり半券がある限りは何度でも出入りが自由というイベント。

悠真と行ったライブなどは1度出たら絶対に戻して貰えないという条件だったのに比べると随分と甘いセキュリティだと思う。

チケット確認のすぐ後ろでパンフレットが配られる。

一冊、千円。

試合のスケジュールと選手のプロフィールが載ったパンフレット…。

スポンサーの広告ページや主催者の紹介ページ。

海斗さんのプロフィールを確認する。

16戦9勝6敗1引き分け…。

K.O勝ちは僅か3回。


「それよりも、こっちの試合の方が面白いかもな。」


悠真が海斗さんの試合の1つ前の試合の方が面白そうだと言う。

パンフレットを見る限り、普通の若い男の子とかなりおじさんの対戦にしか見えない。

ひとまず客席に悠真と向かう。

狭い部屋の真ん中にリングがあり、その周りにパイプ椅子が並べられただけの客席。

さすがに世界タイトルとはかなり違うのだと実感が湧いて来る。

しかも…。

試合が始まるとリングの両サイドから


「そこっ!もっと攻めて!」

「行ける!行ける!」

「今の調子!」

「落ち付いて行こうよ!」


とリングに向かって好き勝手に声を掛ける人が居る。

セコンドというよりもジムの関係者が声を掛けてる感じがする。

後で聞いた話では、それ専門の人が居て、選ばれるのは同じジムで声がよく通る人らしい。

そうやって声を掛けて選手に指示を出すのが、その人達の役目。

試合終了まで1分を切ると


「時間ないよー!攻めて攻めて!」


と選手にポイントを稼がせたりするらしい。


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