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振り向けば…
第22章 贅沢…
家に帰るとお父さんもお母さんも居ない。
最近はラブラブ夫婦な人達…。
散々、お母さんに迷惑を掛けた自負があるお父さん。
ちょっと買い物に行くのでもお父さんがお母さんについて行ったり、2人で日帰り旅行や温泉を楽しむ夫婦をやってる。
来人だけが相変わらずのガリ勉で部屋からほとんど出て来ない。
友達と遊びに行く姿すら見た事がない。
私は自分の部屋でベッドに寝転がり、ノートにあれこれと書き込んで行く。
まだ真っ白で何もない世界を私が創造して作り上げていく。
悠真がやってるクリエイターの真似事…。
仕事としてやるのは地獄だと悠真が言う。
でも趣味としてやるなら最高の暇つぶしだと教えてくれたのも悠真だ。
書きたい事を一方的に書いてるうちに睡魔が来て寝てしまう。
あっという間に新しい年を迎えてた。
相変わらずのお正月…。
ビールを飲み散らかしてご機嫌のお父さん。
最近はガミガミと言わなくなったお母さん。
そして悠真と悠真のお母さん。
見慣れた光景のお正月に安心する。
お父さんが居ないお正月は地獄だった。
誰も挨拶に来ないお正月。
挨拶に来てもお父さんの病状の話になるから気を使う人ばかりになる。
お母さんは疲れ切った顔をするだけのお正月だったから、2度とあんな経験はしたくないと初詣では神社の神様にそう願う。
そんなお正月が終わり、私は仕事に行く毎日。
ある平日…。
仕事帰りの時に携帯にメッセージが来た。
『まだ仕事か?』
『今、帰り。』
『すまん。すぐに来てくれ。』
こんな事は初めてだ。
悠真が私を平日に呼びつける。
何があった?
インフルエンザにでもなったか?
車を慌てて悠真の家へと向けていた。