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振り向けば…
第22章 贅沢…
普通なら男の家に女が堂々と入って来たら、恋人が来たのだと遠慮をして彼女が帰ってくれるだろうと悠真は期待をしたのに…。
それを見事に否定した挙げ句に悠真の変態説をクライアントに擦り込んだ私に呆れてる。
「お前…、友達失くすぞ。」
「つまり、悠真の友達が居なくなるという事だ。」
「わかりました。来夢さんに期待をした僕が悪かったので着替えて来て下さい。飯に行くぞ。」
「仕事は?」
そう聞くと悠真が穏やかに笑う。
「とりあえず、邪魔なのは追い払えたからな。来夢と飯食うてから仕事に集中する。」
結果オーライなら、それで良いと悠真が笑う。
だから私は着替えて悠真とご飯を食べに行く。
「週末までに仕事を終わらせるから、うちに飯を作りに来いや。」
ご飯を食べながら悠真が偉そうに言う。
「なんか偉そう…。」
「新作のライブ映像を手に入れた。来夢が来るまで観ないようにしてるけど?」
「あざーすっ!」
そうやって私は週末には悠真の家に行く事になる。
いつもと変わらない日常が続く。
バレンタインデー…。
3つのチョコレートを用意する。
1つはお父さん。
1つは悠真。
私の仕事が休みだから悠真の家にチョコレートを届けてやる。
「そろそろ、行こうか?」
悠真が私に聞いて来る。
私は小さく頷くだけ…。
もう1つのチョコレートを抱えて悠真と2人で出掛けるバレンタインデーの日。
行き先はおじいちゃんが奉納されてるお寺。
おばあちゃんと同じお寺におじいちゃんが居る。
今は2人で仲良くしてるはず。
おじいちゃんの位牌にチョコレートを備えてから手を合わせておじいちゃんに報告する。