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振り向けば…
第24章 坊やだからさ…
「セクハラとか言うなよ?」
そう言うた宮崎さんが私の額に手の甲を当てて来る。
ひんやりとして気持ちがいい。
まるでお父さんの手みたいだと年配の宮崎さんの手に甘えたくなる。
次の瞬間。
「専務!」
と宮崎さんが叫んでた。
後はぼんやりとしか覚えてない。
社長さんの息子さんである専務さんが駆け付けて来ると宮崎さんが私に熱があるとか、今から病院に連れて行くべきだとか言う会話があったような気がする。
私の車に私の身体が宮崎さんに押し込まれると専務さんが私の車を運転する。
次に目を覚ますと私はベッドに寝かされて点滴の管に繋がれてた。
「起きた?」
専務さんが私の顔を覗き込む。
「はい…。」
「びっくりしたよ。車の中で意識を失くしたから。」
「えっと…、ごめんなさい…。すみませんでした。」
「謝る事はないからね。」
救急用の処置室のような部屋のベッド…。
起き上がろうとした私を専務さんが止める。
「お医者様の話が終わるまでは寝てなさい。」
いつもニコニコとして仏のような笑顔しか見せない専務さんなのに…。
事務のおばさん達に頼りない2代目だと陰口を言われてる専務さんが今日は鬼の顔で私を睨む。
「森本さんはね…、1人でなんでもやろうとする悪い癖があると思う。」
お医者様が来るまでの間、専務さんがそんな事を私に言う。
「すみません。」
「ほら、謝らない。森本さんが倒れるほど働かせた会社の責任ってのがあるんだから…。森本さんが謝る必要はないんだよ。」
その会社の社員の体調管理も本来なら私の仕事の内になる。
なのに私は自分の体調管理にすら失敗をしたと情けなくて顔が上げられない。