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振り向けば…
第24章 坊やだからさ…



今はそんな小さな幸せが私にとってはとても大切な時間だった。

夏の仕事はかなりキツかった。

去年の夏は大した仕事をしてないから、これ程キツいとは思いもしなかった。

今の仕事での私の現場は2つ。

1つはマンション建設。

もう1つは病院の建設。

病院の建設はあれこれと複雑な注文がある為に結構大変なんだと思い知る。

入院設備がある、かなり大きな病院…。

レントゲン室になる部屋の壁などは特別な作りにする必要があり、エレベーターは両サイドに扉がある特注品になったりと覚える事が山積みになる。

しかも、まだクーラーなどない灼熱の現場を走り回る事になるから毎日がフラフラになって家に帰る羽目になってた。


「監督さんはお疲れか?」

「海斗さん…。」


病院の建設の合間にマンションの現場にも行く必要がある。

こちらは作業員が毎度の同じみの人達ばかりで、同じみの作業工程だから現場の状況確認に顔を出す程度で済んでいる。


「顔色が悪いで?」

「そうかな?」

「ちゃんと水分補給をして休憩を取りや。」

「うん…。」


水分は有り得ないくらい補給してる。

毎日、自分が持ち歩く2Lの水筒を空にするほど飲んでは家に持って帰ってる。

なのに…。

身体がふわふわとする。

全身が焼けるように熱く感じる。

なんか悠真に抱かれてる時みたい…。

くだらない事を考えて会社に戻り報告書を書き始めたつもりだった。


「森本さん?」


パソコンを起動したまま動かない私に宮崎さんが声を掛けて来る。


「宮崎…さん?」

「顔が真っ赤やぞ?」


やだな…。

日焼けしたかな?

毎朝とお昼の休憩にはこっそりと日焼け止めクリームとファンデーションだけは塗りたくってるのに…。

頭の中でそんな事をぼんやりと考える。


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