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振り向けば…
第24章 坊やだからさ…



悠真は何も答えずに私の取り皿に焼けたお肉を山積みにしていく。

食欲なんかないのに…。

苛立ちを感じて悠真を見る。

悠真はただ穏やかな顔で私を見てる。


「それは仕事を辞めたいって意味か?」


悠真にそう聞かれて私の方が答えに詰まる。

辞めたいの?

違うやろ。

自分の失敗に恥ずかしくて逃げ出したいだけやん。

自問自答を繰り返す。


「もし辞めたら来夢はどうしたいねん?」


更に悠真が聞いて来る。

仕事を辞めたら…。

私には何もない。

やりたい事もない。

やりたい夢もない。


「辞めたくない。」


そう答えるしか自分に道がない。

だけど、そう答える事で自分自身で逃げちゃいけないと言い聞かせる事が出来る。


「なぁ、来夢。いつも言うけど、そんなに焦るな…。今はしっかりと飯を食うて体力を取り戻す事が一番重要な事やろ?」


必ず私にブレーキをかけてくれる。


「うん…。」

「ビビンバでも食うか?」

「食べる。」


もし私が食べきれなくて残しても悠真がちゃんと食べてくれる。

だから今の私は体力を取り戻す為に自由気ままに食べれば良いのだと思う。

食べられるだけ食べて悠真と悠真の家に帰る。


「先に風呂済ませて来い。」


悠真が私の背中を押す。

お風呂に入ってパジャマに着替えてリビングに行くと悠真が私の好きなジュースをコップに入れて渡してくれる。


「とにかく水分補給や。」


そない言うて笑う悠真。

ジュースが冷たくて気持ちいいと思う。


「来夢、まだ熱があるんか?」


私の頬に悠真が手を当てて聞いて来る。


「1晩寝たら大丈夫だと思う。」

「俺の部屋で寝てろ。夜中になんかあっても、すぐにわかるからな。」


そんな風に言うて悠真がお風呂に向かった。


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