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振り向けば…
第24章 坊やだからさ…
このまま我が家に帰ってもひたすら凹むだけの自分をわかっとる。
だから悠真を呼んだ。
「悠真の家に行く。」
「とりあえず飯でも食うて帰ろう。」
悠真が私のスタミナの為にと焼肉屋に車を向ける。
その間に私はお父さんに電話をする。
「しばらく悠真の家に行くね。」
『なんかあったんか?』
「何にもないよ。お盆休みは悠真と鹿児島に行く約束になってるし…。」
現場で熱中症になったなんかお父さんに言えない。
「お父さん…。」
『なんや?』
「炎天下での水分補給にお茶はよくないらしいよ。」
『そうなんか?けどお父さんは現場言うてもユンボでエアコンが効いとるから大丈夫やぞ。』
「そうなんや…。」
お父さんがいつもお茶だからお茶で大丈夫なんだと思うてたのは私の思い込み。
お父さんとは仕事の内容が違うという事をちゃんとわかってなかった。
誰よりも現場をわかっとるなんて私の思い上がり…。
ひたすら凹む私にほぼ無理矢理に悠真が焼肉を食べさせて来る。
「今はしっかりと食え、ちゃんと大きくならないとまた炎天下で倒れる事になんぞ。」
「やかましい!」
注文をした烏龍茶をぼんやりと眺める。
私も悠真もお酒は飲まない。
「悠真…、夏の水分補給にほんまはお茶が良くないって知ってたか?」
「ああ、ニュースかなんかで見た事ある。スポーツドリンクが一番ええらしいけど、スポーツドリンクは糖分が高いからミネラルウォーターで薄めるとかなんとかかんとか言うてたな。」
悠真ですら知ってた知識…。
知識のない未熟者に監督など務まる訳が無い。
「現場管理…、私にはまだ早いんかな?」
ため息が出た。