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振り向けば…
第27章 重く低い声…
私はそのお父さんの気持ちを尊重する。
「ああ、家族ね。そんな噂もあったよね。今田君と森本さんが実は腹違いの兄弟なんじゃないかって…。」
委員長がクスクスと笑い続ける。
うちのお父さんまで侮辱するの?
頭に血が登る感覚がする。
「そろそろ、そういうのやめなよ。」
内海さんが委員長を窘めてくれる。
「内海さんだって人の事言えないでしょ?高校じゃヤリマンってあだ名が付いてたし。」
今や強気の委員長の毒舌が止まらない。
「木村さんだって高校じゃイジメられて必死のダイエットしたって聞いたし…。」
委員長に向かって机を蹴飛ばしたくなってた。
私の中にはお父さんのぼーそーぞくの血が流れてる。
「ええ加減に…。」
せえや。
内弁慶の私が本性を剥き出しにしようとする。
「そこまでや。」
私の頭が押さえ付けられた。
「悠真っ!」
「相手にすんな。来夢…、お前はお前で俺は俺や。委員長かてそうや。人の事をあれこれと詮索ばかりするような人間はいずれ孤独になるだけやぞ。」
重く低い声…。
だけど悠真の言葉は会館中に響き渡る。
「別に詮索なんかしてないわよ。今田君が今はご立派な社長さんだって森本さんが言うから。」
「それが詮索や。同窓会が無けりゃ委員長と顔を会わせるつもりが俺には全くない。つまり赤の他人同然の委員長になんで俺が今の自分の仕事の事をとやかく言われなあかんねん?」
「とやかくは…。」
「だったら黙っててくれ。」
悠真はそれだけをきっぱりと言うと肉屋や航大が居る中庭に戻る。
委員長もそれ以上を言い返す事が出来ずに他の人達と話をする。
悠真がキレた。
それだけは感じる。
悠真の中の龍平おじさんが怒ってる。
そんな同窓会で私は木村さんや内海さんと今の話が出来ずに昔話ばかりをする事になってた。