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振り向けば…
第29章 激甘なのに…
お父さんが喧嘩っ早くなったのはおばあちゃんのせいだとお父さんが胸を張る。
「それは違うんじゃない?」
「来夢かて俺に似とるとこがあるやんけ。」
「私はお父さんほど喧嘩っ早くありません。」
「悠真にはすぐにキレるくせにか?」
「だって…、それは悠真が私にアホな事ばかり言うからやん。」
お父さんに、もごもごと言い訳をして自分の気持ちを誤魔化してまう。
お父さんには、それがわかるのか私を呆れたように笑いながら黙って見てる。
悠真なんか…。
東京に行く事すら私には言うてくれへんもん。
いじけたままお父さんと家に帰るとお母さんがご機嫌で
「来夢、ちょっと手伝って。」
と台所で私を呼ぶ。
久しぶりにお母さんと料理をする。
ハンバーグにエビとアボカドのサラダ。
それに手巻き寿司…。
どれも私の好きな物ばかりだと思う。
「来夢も本当に料理が上手くなったね。」
サラダを混ぜる私にお母さんが嬉しそうな顔をする。
私は理想の娘に成長したのだろうか?
だとしたら悠真にこだわり続ける事は両親にとっては良くない事なのだろうか?
結婚とか意識出来る人と付き合うべき年齢が近付いた自分に焦りを感じてまう。
「姉ちゃんの誕生日か?」
来人がテーブルに並ぶ料理を見て聞いて来る。
「あかんのか?」
「いや、姉ちゃんでも歳を取るんやな。」
馬鹿にしたように私を見下ろす弟にムカつく。
「当たり前やんけ。」
「姉ちゃん、小学生ん時から変わってないから。」
「やかましい!」
久しぶりに家族揃っての食事。
ただ悠真が居ない。
その事実を忘れたように久しぶりの家族での食事を楽しむ私の誕生日だった。