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振り向けば…
第29章 激甘なのに…



お父さんは変わらず私に激甘なのに…。

お母さんとお父さんも変わらずのラブラブなのに…。

少しでも歯車が狂うとそうなるのだとか考える。

ご飯の後はお父さんとブランドショップを見て回る。


「お母さんと来夢に1個づつバッグを買うたるから来夢が選べ。」


お父さんが少し照れた顔で私に言う。

いくら誕生日でも私にだけブランドバッグを買えばお母さんがまた目くじらを立てるからだ。


「私のと色違いで良いかな?」


私は赤系でお母さんには落ち着いた黒系でお揃いのバッグを選ぶ。

お値段も手頃だからお父さんがホッとした表情を浮かべてる。

未だにお母さんに怒られるのは苦手なんだと思うと笑っちゃう。


「何がおかしいねん?」

「お母さんがちょっと羨ましいの。」

「何が?」

「お父さんとラブラブだから…。」

「お前もそういう奴を探せよ。」

「んー…、無理かな。」

「そんな事はない。来夢はお母さんにそっくりやからな。」


私はお母さん似ではある。

来人も同じくお母さん似。

ただ残念な事に来人は普通に大きくなったのに私だけがチビのまま成長期が終わった。


「ばぁさんが小さい人やったからなぁ。」


そんな話をお父さんがしてくれる。

初めて聞くおばあちゃんの話。


「どんな人だった?」

「お袋か?」

「うん…。」

「いつもチョロチョロとしてて、やたらと落ち着きのない人やったな。小さいくせにすぐにキレて喧嘩っ早い人やった。」

「おばあちゃんが喧嘩?」

「じいさんが何にも言わん人やったやろ?」

「うん…。」

「だから一方的にお袋が親父を怒鳴りつけてる印象しか残ってないんや。」


お父さんが苦笑いをする。


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