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振り向けば…
第31章 仕上げ…
お土産物屋が並ぶ通りを抜けて悠真が私をお寺へと連れて行く。
「やっぱり、京都という気分はお寺観光?」
「せっかくならシリーズの1つを見たいとは思わんか?」
何のシリーズやねん?
悠真が言う意味がわからない。
下駄箱で靴を脱ぎお寺の中へと上がり込む。
順路らしい通路を悠真と静かに歩くと、とある部屋の奥にに赤い頭巾を被る厳つい顔のおじさんの絵が見えて来る。
「ダルマ?」
「開祖の達磨大師の絵らしい。まぁ、ダルマにも見えるよな。」
つまりシリーズはダルマか?
大阪の猿山にあるお寺は勝利祈願で有名なお寺だから至る所にダルマが置いてある。
そのまま通路を抜けて特別拝観と札が立てられてる通路へと悠真が向かう。
「特別拝観?」
小さな祠が通路の向こう側にある。
入り口から見ると中が薄暗い。
キンキラな本堂でお釈迦様などを拝観するイメージとは全く違う特別拝観とは何なんだ?
何もない小さな祠に入り、一体、何を見るのかと思うた瞬間、悠真が天井を見上げるから真似をして天井を見上げてみた。
「わぉっ!」
小さく声を上げていた。
天井に広がるギョロ目の龍がしっかりと私を睨み付けている。
「雲龍図って言うんや。ここの雲龍図が一番有名らしいけど京都のお寺にはあちこちに様々な雲龍図があるらしい。」
「そうなんや。」
「次にもし京都に来るなら、別の雲龍図を見たいと思うやろ?」
悠真がニヤリとして私に聞いて来る。
シリーズとは雲龍図の事かと納得する。
「他の雲龍図も観てみたい。」
「次は秋に観に行こうぜ。」
悠真が未来の約束をしてくれる。