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振り向けば…
第33章 俺なんかの為に…
会社で宮崎さんと打ち合わせをする。
打ち合わせというても今年の新人について話合うだけの打ち合わせ。
「佐久間君はどうや?」
「人懐こい子だから、すっかり工事部に馴染んでますよ。得に電気工事に興味を持ってるみたいで電気専門の本郷さんとは仲良く飲みに行ってます。」
「なら電気の講習に行かせて電気の担当させるか?」
「ですね。」
どういう職人をやらせるにしても工事を取り扱う為の最低資格を取らせる必要がある。
その全ての取り扱い資格を持つ私がすんなりと就職が出来たのは会社からすれば即戦力だからだ。
講習だけで取れる資格もある。
それさえあれば現場に出る事が出来る。
「岩谷さんは?」
「佐久間君が片付いたら森本さんが面倒を見てくれるか?」
「宮崎さんだって施工管理があるじゃないですか?」
「俺は土木の2級だけやし、俺の時代は2級は講習だけで取れたんや。」
つまり宮崎さんも勉強はしていない。
「宮崎さん…、狡い。」
「そういう頼りない施工管理ばかりやから2級でも国家試験が必要な時代になったんやろ。」
「そうなんですか?」
「セクハラに敏感な時代やからな。事故にも敏感な時代になったって事や。森本さんは建築の1級まで取るんやろ?」
この段階で土木の1級は取ってある。
後は建築の1級だけ。
今の会社ではそこまでの必要はない。
だけど自分に挑戦する意味で取ろうとは思うてる。
既に資格だけなら私は宮崎さんの上司の立場になっててもおかしくはない。
うちの会社でそこまでの資格を持ってるのは社長さんだけだから…。
専務ですら持ってない。
そういう意味でも私の資格取得に会社はかなり協力的であり、大阪以外の地方で試験前の講習などがあれば会社が出張費を経費として出してくれて私はその講習を受ける事が可能になってる。