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振り向けば…
第34章 えへへ…



大人の分は普通にサンドウィッチやおにぎり。

それと、普通のオカズ。

だけど唯ちゃんの分は小さなお弁当箱を出す。


「唯だけ、別のお弁当?」


不思議そうに唯ちゃんが私を見た。


「これは唯ちゃんの為の特別なお弁当なの。」


私の言葉を聞いて唯ちゃんが小さなお弁当箱の蓋を開ける。

唯ちゃんが大きな目を更に大きくしてキラキラと目を輝かす。


「パパ!見て!見て!パパ!パンダさん!」


ジュースを買うて戻って来た岩谷さんに唯ちゃんが叫び声を出す。

パンダ型に切り抜いた海苔を巻いた小さなおにぎり。

もう1つは兎にして桜でんぶでピンク色の兎のおにぎりにしてある。

卵焼きは斜めに切り込みを入れてハート型に並べてハンバーグは一口サイズをカラフルな爪楊枝で止めて可愛いらしくまとめてる。

後はブロッコリーやプチトマトで彩りを付ければ女の子が喜ぶ可愛いお弁当の出来上がりだ。


「これ?森本さんが?」


岩谷さんが目を丸くする。


「岩谷さんにも出来ますよ。」

「僕にでも出来るんですか!?」


海苔は型で動物型に切り抜いただけ…。

ハート型の卵焼きは切り目を入れて片方をひっくり返すだけ…。

後は可愛いバランなどで飾るだけなら男の人にでも出来るお弁当だ。

それを岩谷さんに教えてあげる。


「パパ?出来る?保育園のお弁当の日にパパもパンダさんのお弁当を作れる?」


唯ちゃんが不安な顔をする。

きっと本格的なキャラ弁を作って来る人は少数だからこの程度のお弁当でも唯ちゃんには嬉しい事なんだと感じる。


「パパにも出来るよ。」

「やったー!」


唯ちゃんが本当に嬉しがるのがわかる。

唯ちゃんが大切な岩谷さんはひたすら私にありがとうと頭を下げて来る。

私と過ごす誕生日を楽しみにしてた悠真には悪いけど私は唯ちゃんの助けになりたいと唯ちゃんの為のお弁当を作った。

まだ誰も救えない未熟者の私が小さな女の子の力にはなってあげられると頑張った。

そんな私を優しく穏やかな顔で眺めるだけの悠真の誕生日になっていた。


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