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振り向けば…
第34章 えへへ…
悠真が私の顔を覗き込む。
「何がおもろいねん?」
「ねぇ、悠真、パンダが見たい!」
唯ちゃんの真似をして私もパンダに向かって走り出す。
「おい、パンダは逃げへんぞ。」
唯ちゃんと手を繋いで走り出した私を悠真が追いかけて来る。
「パンダー。」
唯ちゃんがご機嫌の奇声を上げる。
「森本さん…、意外と若いですね。」
アタフタとしながら岩谷さんも私と唯ちゃんを追いかけて来る。
「来夢はほんまはガキやんねん。」
「会社じゃ、しっかりとした監督さんって感じしか見せない人ですよ。」
「コイツ…、内弁慶やから会社とかでは猫被ってるんですよ。」
「猫被ってるんですか?女の人って難しいです。」
パンダを見ながら岩谷さんと悠真がブツブツと文句を垂れる。
「唯ちゃん、ペンギンさんが居るよ。」
「ペンギンさん見るー!」
私と唯ちゃんは2人で動物園の中を走り回る。
「あーっもう!少しは落ち着いて見ろや!」
悠真が私の頭を押さえ付けてから唯ちゃんを抱き上げて肩車をした。
「高ーい!お兄ちゃん!高ーい!」
唯ちゃんがキャッキャッと喜び興奮する。
「すみません、すみません。」
岩谷さんだけが何故か平謝りをする。
唯ちゃんを悠真に取り上げられた私は立ち止まる。
「そろそろ、お昼にしましょう。」
動物は半分くらい見た。
そろそろお昼時で園内のベンチやテーブルが人に占領され始める。
悠真が唯ちゃんを肩車して空いてる席を探す。
「あそこ、空いてるー!」
唯ちゃんが指差す方へ向かって4人分の席を確保した。
悠真と岩谷さんがジュースを買いに行き私は用意をしたお弁当をテーブルに広げていく。