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振り向けば…
第35章 嘘でも…
梅雨が終わり夏が来た。
せっかくのお盆休み…。
「これは?」
「悠真の部屋で預かって。」
私は引越しの真っ最中。
悠真はふてくされて私の荷物運びを手伝ってる。
「やっぱり、うちに来いや。」
この話は何度も話し合うたはずなのに、何故か往生際の悪い悠真が居る。
「悠真の家はおばちゃんが住むって決めたやろ?」
我が家とアパートの改築の為の一時的な引越し。
来年の春には出来上がるからその短期間だけを私は一人暮らしする。
お父さん達は少し離れたマンションに既に引越しをした後だ。
アパートの駐車場に私の車を停めてるから私だけが我が家から徒歩3分の距離の1DKを借りた。
それを気に入らないと悠真の機嫌がずっと悪い。
「なぁ…、来夢。」
「半年だけやんか。」
「半年だけなら、尚更うちに来いや。」
「おばちゃんの部屋に私が一緒に住むとか、そんなん無理やん。」
「なら、俺の部屋。俺は仕事部屋使うし。」
「そんな事したら、また気を使こておばちゃんの方が出て行く言うで。」
アパートが出来上がるまでは悠真のお母さんも別のマンションで一人暮らしをすると言うてた。
それを私と悠真で説得して半年だけだから悠真の家に行くようにと納得して貰うた。
私が使うてた悠真の家の部屋を片付けてからの我が家の私の部屋の引越し…。
あの部屋を本来の持ち主である悠真のお母さんが使うのは当然の事。
なのに…。
「なぁ…。」
「しつこい!」
悠真のお母さんは本当は悠真と暮らしたいはず。
だけど悠真の自由の為にずっとうちのアパートで暮らすと言う。
これはお父さんから聞いた話。