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振り向けば…
第37章 怖いよ…



「後は来夢が決めて下さい。彼は罪を認めていますから来夢が被害届けを出せば接近禁止命令が出て彼をマンションから追い出す事が出来ます。」


拓也さんはあくまでも弁護士として私に言う。


「当然、被害届けを出せ。テレビのボリュームで逆恨みする奴なんか危険だぞ。」


悠真が私に被害届けを出せと言う。

だけど、その人は普通のサラリーマンだ。

私は半年もすればマンションを出て行く住民だから、そこまで大袈裟にして、その人を追い詰めてよいのだろうかと考える。


「被害届けは出さない。」

「来夢!」

「悠真の怒る気持ちはわかるよ。でも、無闇に人を傷付けたいとは私は思わないんだ。」


悠真だけが納得が出来ないという表情のまま、私と拓也さんで今後の方針を決める。

同じマンションの住民だからエレベーターなどで会う可能性がある。

彼には出来るだけ私には近寄らないようにする約束だけは取り付けると拓也さんが言う。

一応は謝罪をさせて示談という形を取るから、約束事などの取り決めをするらしい。


「来夢が半年だけであのマンションを出て行く事も伝えます。次に来夢に接触があれば、その時は逮捕されるのだという事も伝えておきますから。」


私に生活の不安がないようにと拓也さんが考えて動いてくれる。

この後は拓也さんが私の弁護士として犯人だった人と話を進める事になる。

やっぱり私には怖いという気持ちが湧いて来ない。

過保護にされてる私は拓也さんや悠真が居るから大丈夫という感覚しか感じない。

後の事は全部拓也さん任せ。

不機嫌な悠真とご飯を食べに行くだけの私。

私の日常は何も変わらない。

悠真が居るからそれでええわと不機嫌な悠真を眺めながらご機嫌でご飯を食べる私だった。


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