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振り向けば…
第37章 怖いよ…
きっと、悠真が駆け付けられない時は悠真のお母さんやうちのお父さんがやって来る。
お母さんや来人でも、多分私の為に来てくれる。
会社に逃げ込めば社長さんや専務さん、宮崎さんや岩谷さんも助けてくれると感じる。
そんな風に考える私に怖いものなんかない。
「そういうもんか?」
「そういうもんや。悠真はあれこれと頭で考え過ぎんねん。」
感情がわからない悠真は頭で考える。
最悪のパターンまで考えるから行動が派手になり大袈裟になってまう。
「絶対にお前だけは守ったるから。」
悠真が気合いを入れる。
「頼んだぞ。」
そんな大袈裟な悠真に笑いながら偉そうに答える。
悠真の気合いは虚しく、この後のストーカー事件は急展開で幕を閉じる事になる。
何故なら犯人が警察に自供したからだ。
というか、さすがに警察も近所の男性に聴き込み調査だけをしたらしい。
その際、私の上に住む男性が自供したのだと拓也さんが言う。
この日は拓也さんの弁護士事務所に悠真と2人で呼び出された。
「来夢に本気でストーカーをする意思はなかったと言ってます。」
拓也さんが苦笑いを見せる。
犯行の動機っていうのかな?
その人は嫌がらせ程度のつもりだったらしい。
「テレビのボリュームの事で腹が立ったらしいんです。彼はもう10年以上はあのマンションに住んでいて、今まで一度も苦情を受けた事がなかったので。」
その人の気持ちを拓也さんが代弁する。
嫌がらせをすれば私がマンションから出て行くかもしれないと考えた上での軽い気持ちのストーカーだったのに、警察が動いてて大袈裟になってる事実を知って怖くなったと犯人が自供をした。