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振り向けば…
第38章 なんか変…



ストーカー騒ぎの終息と同時進行で私と悠真は岩谷さんの家に行く。

小さくて可愛らしい一軒家。

母子だった岩谷さんが奥さんとお母さんの為に買うた家らしい。

お母さんとの同居はいわゆる嫁姑争いは起きなかったと岩谷さんが言う。


「その代わり、母が気を使って遊びにでも行って来いと送り出した為に外で彼氏を作ったみたいです。」


全ては自分が悪いのだと自分を責める岩谷さん。

優しさも時には罪になると私には感じる。


「頼りない事を言うてないで、唯ちゃんの為にしっかりして下さい。」


そう岩谷さんを叱るしかない。

今日は唯ちゃんの5歳のお誕生日。

保育園のお友達も3人ほど来てる。


「唯のお兄ちゃんなの。」


何故か唯ちゃんは悠真にベッタリでお友達に悠真を自慢するように見せつけてる。

私と岩谷さんは子供達のジュースやケーキの準備中。


「いいなぁ、唯ちゃん。」

「お兄ちゃん、カッコいい。」

「唯ちゃんの彼氏?」

「きゃーっ!」


5歳と思えない会話が聞こえて来る。

悠真だけが小さな少女達に囲まれて狼狽えた顔をするだけだ。


「すみません、すみません。」


岩谷さんが私に平謝りをする。

あの動物園の日から悠真は唯ちゃんの中で王子様になったらしい。


「別に構わないですよ。唯ちゃんの気持ちが少しはわかるから…。」


私はそう言うて苦笑いをする。

お母さんが居ない唯ちゃんが唯一自慢出来るのはお父さんだけだ。

そのお父さんの知り合いにカッコよくて優しいお兄ちゃんが居るのだと唯ちゃんは友達に自慢する。


「森本さんが?」


岩谷さんが不思議そうに私を見る。

世間じゃ私は両親が健在で経済的にも不自由なく大学にまで行ったお嬢様だと見る。


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