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振り向けば…
第40章 二日酔い…



悠真はニヤニヤとして私を見る。


「悠真!一体、何を言うた!?」

「お前が言え言うたんやろ?俺の女やって…。」


感情のないやつにはTPOも通じない。


「冗談じゃねぇ。酔っ払った俺の女が他の男と遊んでるとか岩谷さんみたいな事を俺は認めねぇよ。」


悠真が私を睨みつける。

ゾクリとする。

怖い目…。

鬼神と呼ばれた龍平おじさんを感じる瞬間。

いや、違う…。

私が感じてた龍平おじさんの面影は全て悠真の僅かな感情なのだと理解をする。

だから笑うてまう。


「何がおかしいねん?」


ふてくされて悠真が聞いて来る。


「嬉しいから…。」


私は悠真を見て笑い続ける。

微かで僅かな自分の感情に悠真は自信がないだけで自信のある感情は龍平おじさんの姿を借りて悠真の表情に現れてる。

少なくとも私は愛されてる。

恋人として悠真が私を認める事は自信がないから躊躇うだけで、私が浮気をチラ見せすれば悠真は私を俺の女だと言うて束縛する。

つまり私の運命の人はことごとく悠真に邪魔をされて追い払われる運命なのだ。

それが私の本当の運命なんだと思うと笑わずにはいられない。


「ゆう…。」

「ん?」

「悠真の女なんやろ?」


私の言葉に少し照れた顔を見せてくれる。


「20年、お前と居たからな。今更、他の男に取られたらムカつくって思っただけや。」


どうしても感情を頭で考える悠真が居る。

そんな悠真を受け入れなければならないのだと、やっと理解が出来た気がする。

病気なんかじゃない。

それが悠真という男だ。

20年という月日はあっという間でも蔑ろに出来る時間じゃない。

振り向けば…。

必ず悠真が居たように私も今までと変わらない態度で悠真の傍に居てやろうと決めた日だった。


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